足の主な変形および症状


外反母趾角度25.5度
外反母趾角度25.5度

外反母趾


足の母趾が小趾の方向に外反変形している状態をいいます。変形に伴い母趾の付け根の関節周りに痛みが生じる場合があり靴などに擦れ炎症を起こします。これをバニオン(腱膜溜)と言います。
医療機関ではX線を用いて計測しますが、外反母趾角(HVA)9〜15度正常 
20度未満軽症、20〜40度中程度、40度以上重症と診断されます。

 

外反母趾の原因
■外的要因: 成長期のスポーツ、靴の問題(ハイヒールや先の細いパンプス等)、

       室内のフローリング化など
■内的要因: 遺伝的な素因・・・母趾が第2趾より長いエジプト型、丸い骨頭
■外反母趾になりやすい足: 扁平足、凹足、開張足、母趾の中足骨が内側に向いている。

 

変形の進行順序
まず指の付け根の幅が広がる開張足になり横アーチが低下します。開張足になると第一中足骨から第五中足骨に至るMTP関節が扇状にひろがり、母趾と小趾の基節骨がずれて母趾が外反、小趾が内反します。 第二、第三中足骨の骨頭底部に荷重がかかり胼胝(タコ)や痛みを引き起こしやすくなります。
さらに進行すると、母趾外転筋の走行が底側に変位し母趾が他の趾に重なり母趾の関節が脱臼します。

正常な横アーチ
正常な横アーチ

開張足 splay foot (足の横軸アーチの平坦化)

 

幼少期、成長期でのスポーツや生活習慣で、前足部への過度の負担などにより中足趾節関節(MTP関節)において、第2,および第3中足骨が低下し、横アーチが平坦化、重度の場合は足底面に胼胝もしくはウオの目ができ、有痛性の場合もある。また、深横中足靱帯が伸びきって足幅が拡大し母趾や小趾関節外側に有痛性のバニオン、バニオネットに発展する。また、外反母趾や内反小趾の原因でもある。

開張足 落ちた横アーチ
開張足 落ちた横アーチ



凹足 high arches (足の縦アーチの高いアライメント)

 

  先天的に舟状骨を頂点とする、いわゆる縦軸のアーチ(土踏まず)が高いアライメントをとっている足で、スポーツ(得に走ったり、飛んだりする)には適しており、その能力が優れている者が多い。その反面、自分の体重を支える面積が通常の者よりも小さいため、踵部と前足部に負担が多く、得に中足骨骨頭においてアーチの低下が起き、開張足が発症する場合が多い。

扁平足 (足の縦軸アーチの平坦化)


 凹足と同様に先天的要因が大きい。病名事体の認知度が高く、とりわけ足部の変形の中でも容易に確認できるため、一般の人でも判断しやすい。素人判断で見た目の縦アーチの低下のみで判断する事が多いが、実は様々な形態があり間違った診断になっているケースがある。扁平足の足部形態の特徴としては次ぎの事があげられる。

①踵骨に対して距骨軸が内旋し、距骨頭が前内側に落ち込む。

②後足部の外反(踵骨の外反)。

③後足部に対して前足部が外転および回外する。

このような形態変化の原因によって、縦軸アーチが平坦化し足のバネ機能がなくなり、歩行時の衝撃を緩和できなくなってしまう。

 扁平足は、生まれつきである先天性、骨折や脱臼による外傷性、距骨下関節の感染による炎症性、脳性麻痺などによる麻痺性、発育に従って主として体重負荷による静力学的扁平足などに分けられる。また、静力学的扁平足には年齢により異なった様相を呈してくるので、年齢に従って、次のように分類している。

①小児期扁平足 ②思春期扁平足 ③成人期扁平足

踵骨棘 heel spur (踵骨底面、内方突起に刺状の骨増殖)


 起床時や起立、歩行時に疼痛を発する。男女比はほぼ1:1で、中年以降に多い。両側発生例がおよそ10%である。足底腱膜は踵骨底側の内側突起から起こり前足部に及ぶ足底のアーチを保つ厚い靱帯であり、母趾外転筋、短趾屈筋、足底方形筋も付着している。

 スポーツ選手の中でも、長距離ランナーに多いことから、内側突起部へのストレスが繰り返し加えられると、その起始部において腱膜炎、骨膜炎あるいは滑液包炎が生じ疼痛を牽き起こすと考えられている。体重増加も一因となる。治癒まで数週から数カ月要する例が多い。改善し難くとも1年間は保存療法を行う。